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中国産ウナギくんは陰陽論者か?

今日は土用の丑の日。
類にもれず、私もうなぎ丼を作って食べました。

実は子供の時分、「土曜の牛の日」だとずっと思っていました。
だからどうして牛じゃなくて鰻なのか、しばらくずーっと疑問でした。

ちなみに最近は牛丼屋でうなぎ丼なども出しているようだから、今の時代自分が子供だったらきっと「土曜は牛丼屋へ」という飲食店のうたい文句だと理解したかも知れません。

ところで実際に、土用は丑の日、は江戸の町で、なんでも屋の平賀源内さんが考案した利にかなったキャッチコピーだったんですよね。

暑ーい季節の真っ只中、二十四節季では「大暑」のころ、陰陽五行論という中国経由の思想・世界観を元に、陽が極まっている暑い時期、陰の食材をカラダに取り入れると陰陽のバランスが取れるということで、土の下の陰(かげ)で生きている生きものであるウナギさんをさぁ食べましょうと、うたったというわけです。

ところで、ウナギさんのビジュアルはナマズにも、それからミミズにも似ているなぁと思いました。
そしてナマズもミミズも、ともにイマジネーションの世界では、地震を起こすとされている生きもの達だなぁと思い至りました。
ミミズが地震を起こすということについては、村上春樹さんの『かえるくん東京を救う』という短篇小説に詳しいですのでそちらをどうぞ。

ミミズさんウナギさんナマズさん、皆さんに共通するのは、長細くて、ヌルヌルしていて、地平線より下方に生息地帯がある、このような点ですね。
そんな皆さんが、地平線より上に生息している生きものの放出したエネルギーを蓄積して、限界値に達したときに、私たちが地震として認識している現象を起こすように私には見えます。

地震とはいわゆる地球の地殻の摩擦によって貯えられたエネルギーの放出、ということですが、そうした観察の中にもやっぱり貯えられたエネルギーとそれの放出、ということが見てとれるのが不思議です。

「ねぇねぇ、どうしてミミズさんやナマズさんは地震のキャラクターになるのに、ウナギさんはならないの?」
「いえ、ウナギくんです。それはね、平賀源内氏のアイデアのおかげで、最低でも年に一回は‘地平線の上’に出る慣習ができたからなんですよ。
そしてそこにいる生きものに取り込まれることで、彼らの陽の気と中和してしまうから、もうそれで十分なんですよ。」

と言ったかどうかは実際に耳では聞こえませんでしたが、ココロの中ではそんなやり取りが生まれました。

中国産ウナギくん、ご馳走様でした(-人-)

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