
梅雨に想う
日本各地で梅雨入りしましたね。
雨の時期は、個人的には一番と言っていいほどに情緒を感じます。
実際の記憶ではないのですが、僕には何故だか一つの心象風景がずっとあります。
少年の僕は畳に腹ばいになり、その低い視点から雨降る縁側を見つめている、というのがそれです。
そこでは雨と自分とはもともと一つであるような感覚があって、しばらく雨を見ていると、いつしか視点は雨になって家屋の中を見ているのです。
そして、そこに寝そべる少年をじっと見ているのです。
ちょっと考えると不思議で、雨粒は無数にあり、さらには上から下へと流れ落ちているので、雨の視点とは定点のはずがないようにも思います。
でももしかすると、雨たちはひと粒ひと粒が皆同じ「雨」という存在の分身で、その「雨」という存在の視点は定点カメラのように視点をどこかに定めることが出来るのかもしれない。
たくさんある雨粒の中を「雨」という存在の意識は自在に移動することが出来て、降っている場所であれば瞬時にその主観を移動できる…
心象風景の感覚があることで、僕はそんなことを信じています。
皆さんは、どんな感覚でこの世界を味わっていますか?
前回のweb連載小説『森の夢見師』を読んで下さった皆さん、ありがとうございました!
いかがでしたでしょうか?
読まれた方の感覚のキメが細かくなり、少しでも自由な自分になることが出来たならとても嬉しく思います。
さて本日より、その続きとなります『土星の小春日和』の配信がスタートします!
前回は「僕」が主人公でしたが、今回はその彼女、「小春」のお話となります。
どうぞ前回の作品とともに、こちらの作品もお読みいただけましたら嬉しいです。
合わせて、感想もコメントいただけるととても嬉しいです。
どうぞよろしくお願い致します!